議会基本条例
五ヶ瀬町議会基本条例
平成29年6月19日
五ヶ瀬町条例第17号
目次
前文
第1章 目的(第1条)
第2章 議会、委員会並びに議員の活動原則(第2条~第4条)
第3章 町民と議会の関係(第5条~第7条)
第4章 議会と行政の関係(第8条~第11条)
第5章 自由討議の拡大(第12条)
第6章 議会及び議会事務局の体制整備(第13条~第16条)
第7章 議員の政治倫理、身分及び待遇(第17条~第19条)
第8章 最高規範性と見直し手続(第20条~第22条)
(前文)
五ヶ瀬町民(以下「町民」という。)から選挙で選ばれた議員により構成される五ヶ瀬町議会(以下「議会」という。)は、同じく町民から選挙で選ばれた五ヶ瀬町長(以下「町長」という。)とともに、五ヶ瀬町の代表機関を構成する。この2つの代表機関は、ともに町民の信託を受けて活動し、議会は多人数による合議制の機関として、また町長は独任制の機関として、それぞれの異なる特性をいかして、町民の意思を町政に的確に反映させるために競い合い、協力し合いながら、町政の最良の意思決定を導く共通の使命が課せられている。
議会が町民の代表機関として、町の発展と町民の福祉の増進のために果たすべき役割はますます大きくなる。議会は公正性・透明性を確保し、議員は常に自己研さんと資質の向上に努め、この条例の定めを遵守し、町民に信頼され開かれた存在感のある議会を築かなければならない。
ここに議会は、自らの活動と責務等の指針を明確にし、町民の負託に的確に応えることを決意し、議会の最高規範としてこの条例を定める。
第1章 目的
(目的)
第1条 この条例は、地方分権と住民自治の時代にふさわしい議会となるよう、議会及び議員活動の活性化を図るために必要な基本事項を定め、町政の情報公開と町民参加を基本にしながら、豊かな自然と和やかな地域性を大切にし、産業と文化の振興に努め、常に本町の発展と将来性を願い、更に活力ある誇れる郷土づくりに寄与することを目的とする。
第2章 議会、委員会並びに議員の活動原則
(議会の活動原則)
第2条 議会は、次の各号に掲げる事項を原則として活動を行わなければならない。
(1) 公正性、透明性及び信頼性を重んじ、町民に開かれた議会を目指すこと。
(2) 町民の多様な意見を的確に把握し、町政に反映させるための運営に努めること。
(3) 町民にとって、分かりやすい言葉を用いた説明に努めること。
(4) 議会内での会議規則等は、必要に応じて見直しを行うこと。
(5) 町民の傍聴しやすい議会運営を行うこと。
(委員会の活動原則)
第3条 五ヶ瀬町議会委員会条例(昭和62年条例第17号)の規定による常任委員会、議会運営委員会及び特別委員会(以下「委員会」という。)の審査にあたっては、町民に対し分かりやすい議論を行うよう努めなければならない。
2 委員長は委員会の秩序保持に務め、委員長報告書を自ら作成するとともに、質疑に対する答弁も責任を持って行わなければならない。
3 委員会は、町民からの要請に応じ、審査の経過及び所管する行政課題等を説明するため、説明会等を積極的に行うよう努めるものとする。
(議員の活動原則)
第4条 議員は、次の各号に掲げる事項を原則として活動を行わなければならない。
(1) 議員は、議会が議論の場であること及び合議制機関であることを十分認識し、議員間の自由な討議を重んじること。
(2) 町政の課題全般について、町民の意見を的確に把握するとともに、自己の能力を高める日々の研さんによって、町民の代表としてふさわしい活動をすること。
(3) 議員は、一部団体及び地域の代表にとらわれず、町民全体の福祉の増進を目指して活動すること。
第3章 町民と議会の関係
(町民参加及び町民との連携)
第5条 議会は、町民に対し積極的にその有する情報を発信し、説明責任を果たさなければならない。
2 議会は、本会議のほか、全ての会議を原則として公開とする。
3 議会は、本会議及び各委員会の運営にあたっては、地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第100条の2の規定による専門的知見の活用を図るとともに、法第115条の2の規定による公聴会制度及び参考人制度を十分に活用して、広く専門的な意見を議会の討議に反映させるよう努めるものとする。
4 議会は、町民、町民団体、NPO等との意見交換の場を多様に設け、議員の政策立案能力を強化するとともに、政策提案の拡大を図るものとする。
5 議会は、陳情書又はこれに類するものは、議長が議会運営委員会に諮って審査の必要があると認めるものは、請願書の例により処理し、審査の必要がないと認めるものについては、議員配布のみとし審査は行わないものとする。
(議会報告会)
第6条 議会は、前条の規定に関する事項を実効性のある方策とするため、町民に対する議会報告会を年1回以上開催して、議会の説明責任を果たすとともに、これらの事項に関して町民の意見を聴取して議会運営の改善を図るものとする。
2 議会報告会に関することは、別に定める。
(議会広報広聴活動の充実)
第7条 議会は、多様な広報手段を活用し、多くの町民が議会と町政に関心を持つような広報広聴活動を行うものとする。
2 議会は、広報広聴機能の充実のため、議員で構成する広報編集委員会を置くものとする。
3 議会は、町政に係る重要な情報や多様な意見を町民に対して周知するため、議会広報誌を発行するものとする。
4 議会広報誌の編集にあたっては、委員自らが編集を行い「町民に読んでいただく、分かりやすい記事」を基本に編集するものとする。
第4章 議会と行政の関係
(議会と町長及び執行機関の関係)
第8条 議会審議における議員と町長及び執行機関の長(以下「町長等」という。)との関係は、次の各号に掲げるところにより、緊張関係の保持に努めなければならない。
(1) 本会議における議員と町長等との質疑応答は、広く町政上の論点及び争点を明確にするため、一問一答方式で行う。
(2) 議長から本会議への出席を要請された町長等は、議長の許可を得て、議員の質問に対し反問することができる。
(3) 通告した一般質問の答弁書は、その写しの交付を町長等に求めることができる。
(4) 本会議における発言は、町民の目線で要点のみを分かりやすく述べ、抽象的、歪曲的発言は厳に慎むこととする。
(町長による政策等の形成過程の説明)
第9条 議会は、町長が提案する重要な政策について、議会審議における論点情報を形成しその政策水準を高めるため、町長に対し、次の各号に掲げる事項について明らかにするよう求めるものとする。
(1) 政策の発生源
(2) 提案に至るまでの経緯
(3) 他の自治体の類似する政策との比較検討
(4) 総合計画との整合性
(5) 関係ある法令及び条例等
(6) 財源措置
(7) 将来にわたるコスト計算
(予算・決算における政策説明資料の作成)
第10条 議会は、町長に対して予算案及び決算を議会の審議に付すにあたっては、前条の規定に準じて、分かりやすい施策別又は事業別の説明資料を町長に求めるものとする。
(総合計画等の協議)
第11条 議会は、町政における重要な計画等の策定・変更・廃止について、町長の政策執行上の必要性を比較考量のうえ、町民に直結する次の事項を協議事項として町長に求めるものとする。
(1) 五ヶ瀬町総合計画
(2) 国からの事務委譲又は町独自の判断で策定する中長期の計画
第5章 自由討議の拡大
(討議による合意形成)
第12条 議会は、議論の場であることを十分に認識し、議長は、町長等に対する会議等への出席要請は必要に応じて行い、議員相互間の自由討議を積極的に行うよう努めるものとする。
2 議会は、本会議及び委員会において、議員、委員会及び町長提出議案並びに町民提案等に関して審議を行う場合、議会全員協議会により議員相互間の自由討議を積極的に行うよう努めるものとする。
3 議員及び委員会は、前2項による議員相互間の自由討議を拡大するため、政策、条例、意見等の議案の提出を積極的に行うよう努めるものとする。
第6章 議会及び議会事務局の体制整備
(議員研修の充実強化)
第13条 議会は、議員の政策形成及び立案能力の向上等を図るため、議員研修の充実強化を図る。
2 議会は、議員研修の充実強化のため、広く各分野の専門家、町民各層等との議員研究会を積極的に開催するものとする。
3 議会は、隣接する自治体と共通する課題の解決を図るため、互いに連携し、広域政策への取り組みの強化を図り、分権時代にふさわしい議会の在り方について調査研究等を行うものとする。
4 議員は、研修を行ったときは、すみやかに研修報告書を議長に提出するものとする。
(委員会の適切な設置運営)
第14条 議会は、社会、経済情勢等により新たに生じる行政課題に適切かつ迅速に対応するため、委員会を適切に設置し、積極的に運営することとする。
(議会事務局の体制整備)
第15条 議会は、議会及び議員の政策形成及び立案機能を高めるため、議会事務局の調査・法務機能の充実強化を図るよう努めるものとする。
(議会図書室の設置及び公開)
第16条 議会は、法第100条第19項の規定による議会図書室を設置するとともに、これを議員のみならず、町民、町職員も利用できるものとする。
第7章 議員の政治倫理、身分及び待遇
(議員の政治倫理)
第17条 議員は、町民全体の代表者としての倫理性を常に自覚し、自己の地位に基づく影響力を不正に行使することによって、町民の疑惑を招くことのないように行動しなければならない。
2 前項に掲げる議員の政治倫理に関する事項は、別に条例で定める。
(議員定数)
第18条 議員の定数については、別に条例で定める。
2 議員定数の改正にあたっては、行財政改革の視点だけでなく、町政の現状と課題、将来の予測と展望を十分に考慮するとともに、議員活動の評価等に関して町民の意見を聴取するため、参考人制度及び公聴会制度を十分に活用するものとする。
3 議員定数の基準は、人口、面積、財政力及び町の事業課題並びに類似町村の議員定数と比較検討し、決定するものとする。
4 議員定数の条例改正案は、町民の直接請求による場合を除き、明確な改正理由の説明を付して必ず委員会又は議員から提案するものとする。
(議員報酬)
第19条 議員報酬については、別に条例で定める。
2 議員報酬の改正にあたっては、行財政改革の視点だけでなく、町政の現状と課題、将来の予測と展望を十分に考慮するとともに、五ヶ瀬町特別職報酬等審議会条例(昭和43年条例第10号)第1条の規定による五ヶ瀬町特別職報酬等審議会の意見を尊重するものとする。
3 議員報酬の条例改正案は、町民の直接請求による場合及び町長が提出する場合を除き、改正理由の説明を付して必ず委員会又は議員が提案するものとする。
第8章 最高規範性と見直し手続
(最高規範性)
第20条 この条例は、議会運営における最高規範であって、議会は、この条例の趣旨に反する議会の条例、規則等を制定してはならない。
2 議会は、この条例の理念を浸透させるため、一般選挙を経た任期開始後速やかに、この条例の研修を行わなければならない。
(議会及び議員の責務)
第21条 議会及び議員は、この条例に定める理念及び原則並びにこれらに基づいて制定される条例、規則、規定等を遵守して議会を運営し、町民を代表する合議制の機関として、町民に対する責任を果たさなければならない。
2 議会及び議員は、町の発展及び議会活性化のため、自ら議会改革を推進していくものとする。
(見直し手続)
第22条 議会は、1年ごとに、この条例の目的が達成されているかどうかを議会運営委員会において検討するものとする。
2 議会は、前項による検討の結果に基づいて、この条例の改正を含む適切な措置を講じるものとする。
3 議会は、この条例を改正する場合には、全議員の賛同する改正案であっても、本会議において、改正理由及び背景を詳しく説明しなければならない。
附 則
この条例は、平成29年6月19から施行する。
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更新日:2018年10月30日